エンボディメント(自分の体の内部を感じること)を感じるには実際に筋筋膜の構造を図などで見る、ボールを人体モデルに当てる、自分の体にボールを当てるーといったステップから始まります。
エンボディメントを磨くことはキネステテイック意識(タッチを感じる感覚)と受容固有感覚(目で見ずに、自分の体の位置を感じる能力)を高めることに関係しています。ロールモデルはあなたの骨格がきちんと並び、体にあった効率的な動きをできるよう、すべての動きに関して 体の内側を感じる能力、動きの中で適切な繊維をスイッチオン/オフできる能力を養ってくれます。エンボディマップを確立することで関節と繊維を不均等な磨耗から守り、長期の健康を保ちながら痛みを軽減してくれるのです。
感覚を覚醒させ、体の内側を解読していく作業は外国語を学ぶより困難な作業のように思えます。でもロールモデルのメソッドを使うと体の感覚を高めていくのは案外簡単なのです。体内はまるで露店でひしめき合ったお祭りのように多くの神経回路に溢れ、常に目新しさや刺激を求めているのです。ボールを当てることで神経が神経自身を感じられるように、繊維に適度な刺激を与えることができるのです。繊維を常に刺激していると神経回路は正確に伝達作業をすることができ、バランスと機能性を保ちます。ボールであらゆる神経回路をローリングできます。例えば坐骨神経のような大きな神経はとても痛いので、ボールを直接当てることは避けた方が良いでしょう。でも小さめの神経ならばボールのセラピー的タッチで活性化させることができるのです。
特に興味深い感覚神経終末は受容固有性感覚と関わりのあるものです。タッチや圧の情報を受容固有感覚に送る神経終末を「機械受容器」と呼びます。これに反してボールローリングをすると不快感があったり、時に痛かったりする感覚を「侵害受容器」と呼びます。これは真の痛みーつまり有害性のある情報を伝達する神経終末です。
これらの神経終末は体内の神経ネットワーク内の筋膜全体に織り込まれていて、様々な深さや種類のタッチによって査定することができます。そのためにも常にセラピーボールのローリングで繊維に刺激を与えることが大切です。
- 筋紡錘:このストレッチ受容器は筋肉の中の筋膜の繊維内、特に周りを取り囲む筋周膜の中にあります。我慢できる範囲で強めの圧をかけると、その部分で伸長が起こり、触れている繊維内の交感的高揚を抑えることができます。つまり、この受容器をリラックスさせることで筋肉の硬直を緩め、筋筋膜を引き伸ばすことができるのです。
- ゴルジ腱器官:このストレッチ受容器はあらゆるタイプの腱の中に存在します。特に筋腱膜の境目、腱膜の起始部、靭帯と末端関節・関節包の部分に見られます。
- パチニ小体:脊椎靭帯、椎間関節、深部の関節包、筋繊維、筋腱間にあり、この受容器は早い圧の変化と振動に反応、身体の動きと位置感覚を高めます。つまり、これらの受容器をマッサージすることで局部の緊張を緩め、体を感じる受容固有感覚を高めることができるのです。
- ルフィーニ終末:この神経終末は末梢関節の靭帯の中にあります。外包層、硬膜、浅筋膜の深部、また浅筋膜と深筋膜の間に滑りをもたらす緩筋膜の中にも豊富に見られます。この神経終末は斜めの角度でかけるゆっくりとした収縮によって覚醒します。この方法で中枢神経全体の交感神経の働きを抑制しますーつまり、この感覚器をマッサージすると全身の緊張が緩み、受容固有感覚を改善することができるのです。
- 腸内の繊維:コーティングされていない神経終末で、タッチと痛みの情報を伝達します。全身に見られますが、特に骨の周りの分厚い繊維膜のところに密集しています。早い圧の変化、また継続してかける圧に反応します。刺激を受けると血管(特に動脈)を拡張させます。この受容器をマッサージすると、痛みを含めた、様々なタイプのタッチを伝達します。また血流や体液の流れに影響を与えますので、この複雑な神経線維をマッサージすると快感と不快感の両方を感じることがあるのです。
体内にはなんと2万もの筋紡錘があります。その筋紡錘の多くが集中している部位は首の後ろ側、ということをご存知でしたか?
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